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平成13年8月10日 世の中は変わった。そしてますます変わりつつある。21世紀はじまりの早川ゼミC2班WEB SITE序文をこのように書き出せるのは、必ずしも歴史的偶然だけではない。何故なら、歩幅をあわせるかの如く、農業革命、産業革命に続く第三の波ともいえる情報革命が、満を持して歴史の転換期に訪れたからだ。時計の針を20世紀後半に戻し、時代の変遷を回顧してみると、その伏線はベルリンの壁やソ連邦の崩壊、それとは逆にヨーロッパ連合が生まれた事に象徴されるスクラップアンドビルドにあったのだろう。情報革命は目に見える劇的な変化がないので余り実感を伴わないが、ボディーブローのようにじわじわと世の中を変えつつある。 「グローバル化、国際化、ボーダレス化」と言う言葉に代表されるが、情報網の発達や輸送手段の高速化によって「ヒト、モノ、カネ」と「情報」が圧倒的な速さで世界を駆け抜けるようになった。世の中の本質を変えるという事はないが、それに伴って既存の概念が崩れ、今まで考える事のできなかったマーケットやビジネスが生まれた。情報革命がどのような恩恵を与えてくれるのか、逆にどのような不都合があるのか、はっきりと示唆はできない。ただ、便利さとトレードオフ関係にあるとも言える不確実性やリスクの増大、統計が顕著に示す貧富の拡大が現段階で指摘できる事だろう。いわば、いままで情報の非対称性によって温存されていたものが、情報革命によって価値移転が容易になり、市場による評価に晒されたという事だ。リカードの唱えた比較優位説によって国際分業が行われ、価値の平準化が行われているのも事実だが、反グローバル主義に象徴される影の部分として「持つものと持たざるもの」の格差がより鮮明になっている。皮肉な事に、光のあたる部分が強ければ強いほど、影の部分も同様に強くなっていたのだ。「合成の誤謬」に代表されるが、世の中はパラドックス(逆説)が常で、様々な問題が山積している。しかし、電子化(EDI)の研究を黎明期にできる事を素直に喜ばずにはいられない。世界規模で変化が起こっている分野はダイナミズムに溢れ、知らない土地を旅するかの如く胸を躍らせてくれる。また、電子商取引がいち早く実用化された分野を研究する事は、今後遍く普及するであろう電子取引を考察する上で参考になる事でもある。 前置きが長くなってしまったが、テーマを考えるうえで、日本経済の原点に立ち帰ってみた。我が国は、その矮小な国土から容易に推測できることであるが、自国で経済を完結できない、おのずと知れた貿易立国である。その歴史を振りかえってみると、1956年経済白書の「もはや戦後でない」と言う文言は「モノ作り大国」の端緒として非常に誇らしげに見えた。その後「所得倍増計画」や「日本列島改造計画」などの政策と「土地神話」や「消費神話」、「完全雇用神話」と言われる3つの神話に支えられた日本経済は、驚異的な高度経済成長を成し遂げ、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界中から日本の経営システムと教育が称讃され、オイルショックや円高不況を難なく乗り越えた我が国にとって、もはや敵など見当たらなかった。ここで、ようやく主題となる外国為替の話が出るのだが、我が国経済の根幹を支えるモノやサービスを輸出入する際には、決済行為を伴う。いくら優れたものを輸出しても対価を得る事ができなかったら意味がなく、利益を得る事ができなかったら輸出するメリットはない。それは、輸入についても同様である。 日本円で決済する場合には外国為替を意識する必要はないが、実務においては基軸通貨としてのドル決済が圧倒的に多いので、当然円と交換する必要が生じる。つまり我が国において、外国為替市場がなければ経済は成立しないのだ。通貨の交換場所として存在する外国為替市場(東京証券取引所のような物理的市場は存在しない)は為替の性格上、実物(貨幣)のやり取りがなくとも価値移転(債権債務、権利移転とも言いかえられる)ができるものである。また、為替の同質性と金融の定型性が電子化に適し、大量で正確な情報処理要請もあった事から、早期に電子商取引が導入された分野でもある。マネーは経済の血液と例えられるが、1998年に三洋証券がコール市場でデフォルト(債務不履行)を起こした事に端を発する負の連鎖(ヘルシュタットリスク、ドミノリスク)によって山一証券や北海道拓殖銀行などが次々と破綻し、日本列島を震撼させた事は、実際にそれを証明している。近年増加が著しいデリバティブズ(金融派生商品)に代表される金融技術の発達によって、市場規模が拡大(バランスシートに載らないオフバランス取引の増大が著しい)し、様々な分野が今まで以上に密接な関係を持つようになった。もし、そこで滞留が起これば世の中に与える影響は計り知れない。それらを踏まえ、我々の生活への多大な影響度(為替の変動が黒字や赤字の原因になるなど)を勘案した結果、地球規模の市場であり、電子化の功罪が顕著に現れている外国為替市場を主題として選定した。 ジェームス・ブラウンを聴きながら 早川総研主席研究員 平野 貴久
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